見えにくいが、猫。
野良である。
帰り道を歩いていると野良猫が。
いつもなら近づこうものならピャッと逃げていくのだが今日だけは違った。
ジッとこっちを見つめて動かないのだ。
写真を撮ろうと携帯を向けて近づいてみても逃げる様子はない。
一時見つめ合うことになるのだが、手に持っていたCoolishに興味津々なのか、その猫はソロソロと近づいてきた。
「ええい!こいつはお前のではない。」
そう私は言い、Coolishをカバンになおした。
しかし、まだ離れる様子はない。
手を伸ばしておそるおそる腰の辺りから撫でてみると、抵抗もなくゆっくりと腰を下ろして甘んじて撫でられている。どうやら嫌ではないようだ。
そういえば餌がカバンにあったはず。思い出した私は先ほどCoolishをなおしたカバンの中からもう随分とカバンの中に放置されていたであろう猫用の餌を取り出して猫に与えてみた。
それを見ていたのか、気の陰に隠れていた黒い小さな子猫が2匹。ジリジリと警戒しながら出てきては近づいては離れ、近づいては離れと、グルグルと周りを回って様子をうかがっている。
どうやらこの撫でられている猫、似てはいないがこの子猫の親猫か親猫代わりというやつか。2匹の子猫の目が心なしか心配そうに思える。
よしお前らもこい!餌をやるぞ!代わりに撫でられろ。と言わんばかりに手を差し伸べてみると人になれていないのかビクッと驚いた様子でまた木の陰に隠れる。
か、かわいい。そう思いながら私は、すっかりと慣れてしまった親猫を撫で、餌を与えていると、
「ブシュッ」
続けて子猫2匹も
「プシュ、プシュッ!」
3匹の野良猫が鳴き声とも付かない声で鳴きだした、どうやら風邪をひいているようだ。
気のせいかとも思ったが、またブシュプシュとくしゃみをしている。
うーん、野良の世界も大変なのか。
いや決して楽なはずはないよな。
残った餌を全て猫たちに渡し、車に乗り込んだ。
ノミをうつされ全身が痒い。
松本